付録第11話 望夫(ボンフ)山の神の話

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付録第11話 望夫(ボンフ)山の神の話
Truyện thần núi Vọng Phu

とても有名な悲しいお話しです。
色々なバージョンがあります。

 望夫(ボンフ)山は、武昌(ブースオン)県にあり、順化(トァンホア)道の海の口にあります。むかし、森の中で木こりとして働いていた男の子と女の子のきょうだいがいました。兄は木を切っていて、手をすべらし妹の顔にぶつけてしまいました。 妹はあまりの痛さに地面に倒れてしまいました。 兄は妹が死んだと思い、怖くなって逃げて遠くに行きました。
 妹はある老人に助けられ育てられました。大人になると非常に美しくなり、昔とは見違えるようでした。老人が亡くなった時、妹は結婚しましたが、夫は自分の兄でした。兄は妻が妹であることを知らなかったのです。彼は妻のひたいに傷跡があるのを見て、その理由を聞きました。妻は言いました。「私が子どもの頃、兄について森に行って木を切りました。兄は誤って私のひたいの真ん中を切って、逃げてしまいました。兄がどこで生きているか、死んでいるかわからないのです。」
 兄は妻が自分の妹であることに気がつきました。でも、すでに夫婦として結ばれていたので、心配ではっきり言うことができず、商売に行くという口実で、出かけて二度と戻って来ませんでした。
 妹は夫が自分の兄だとは知らず、毎日待って、やがて死んで岩になってしまいました。人々はその石を望夫(ボンフ)岩と呼んでいましたが、やがて、その岩を神聖なものと見なし、崇拝する寺院を建てました。


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