第1巻第8話 バインチュンの話
・誰を次の王にするかを、作ってきたおいしい食べ物で決めるという、食い意地の張ったお話。
・主人公郎僚(ランリェウ)は第7代目雄王(フンヴォン)の雄昭王になります。
雄王(フンヴォン)は、殷の敵を打ち破った後、国が安泰なので、子どもに王位を譲りたいと考え、22人の王子と王女を呼んで言いました。「私は意にかなった者に王位を譲りたい。この年末、特別においしい物を祖先に供え、先の王に孝行できる者が王位を受け継ぎなさい。」
子どもたちは皆、おいしい食べ物やめずらしい物を求め、陸の上や水の中など数え切れないほどたくさんの場所に探しに行きました。
ただ18番目の息子である郎僚(ランリェウ)だけは、母が王に冷たくされ孤独に亡くなっているので、近くに助けてくれる人はいませんでした。なんとかできそうになく昼も夜も心配し、夢を見ても不安でした。
ある夜、夢の中に神人(しんじん)がやって来て言いました。「天と地にある物で、人間に貴重な物は米のほかにはない。米は人間を養い健康にし、食べて飽きることはない。他の物ではこれ以上のことはできない。」「さあ、もち米を使って餅を作りなさい。四角と丸い形で天と地を表し、葉を使って外側を包み、中にはおいしい味の物を入れて、父母が生んで育てた功徳を示すのだ。」
郎僚(ランリェウ)は目を覚まし、喜んで言いました。「神人が私を助けてくれた。」
言い終わると、夢の指示に従って、真っ白なもち米を選び、砕けていない丸い米粒を選び、洗ってきれいにして、緑の葉で四角く包み、中においしい味の物を入れ、天と地とすべての物のイメージを表し、よく煮て、それをバインチュンと名付けました。さらに、もち米を炊いて、よくつぶして、天を象徴する丸い形にして、それをバインザイと名付けました。
時が来たとき、王は喜んで子どもたちに物を献上する場所に並べるよう命じました。すべて見まわってて、食べ物に無いものはないことを確認しました。ただ郎僚(ランリェウ)だけは、バインチュンとバインザイだけを献上しています。王が驚いて聞くと、郎僚(ランリェウ)は夢のことを話しました。王はそれを味わい、おいしく飽きずに食べられ、ほかの子供たちのいろいろな料理よりも優れていると、ずっと賞賛し、郎僚(ランリェウ)を1番としました。
正月になると、王はいつもこのバインを持って父母に捧げます。国の人々は今に到るまでそれをまねています。郎僚(ランリェウ)は名を節料(ティェトリェウ)に改名しました。(節料(ティェトリェウ)は正月の食べ物の意味もあります。)
王は王位を僚(リェウ)にゆずり、21人の兄弟たちは分割された領地で集団を作り、国を作りました。その後、それぞれの国の軍は互いに争い、防御のために木の柵を作りました。そこから、柵(サック)、村(トン)、荘(チャン)、坊(フォン)が始まりました。