第1巻その7 檳榔(びんろう)の伝説
なんでこの展開になるのか? みなさん納得いかなかったようで、もっと脚色した話がたくさんあるキンマの起こりの話です。
昔、ある王子がいました。体格は背が高いので、王は高(カオ)という名前を与え、それからは一族の姓を高(カオ)と名乗るようになりました。
高(カオ)には2人の息子が生まれました。長男は檳(タン)、次男は榔(ラン)です。兄弟2人はそっくりで見分けがつきません。17、8歳の時、両親が亡くなり、2人は劉玄(ルーフエン)道士のもとで勉強しました。
劉(ルー)家には、璉(リエン)という娘がいて、年はやはり17、8歳でした。兄弟2人は彼女を見た時とても気に入って結婚したいと思いました。彼女はどちらが兄であるかわからなかったので、2人が食事できるよう粥の椀と箸を並べておくと、弟が兄に先に食べるよう譲りました。彼女は戻って両親に兄の妻になりたいと言いました。
夫婦が同居すると、兄はいつも弟によそよそしくなりました。弟は自分が情けなくて、兄は結婚して自分を忘れてしまったと思い、別れの挨拶もしないまま、そこを出て故郷に戻りました。
森の中まで行き、深い谷川に来て、渡る船もなく、痛々しいほど泣くと、弟は死んで岸に生える木になってしまいました。
兄は家に弟がいないので探しに行きました。その場所に来ると、木の根元で死んでしまい、木の根を抱いて横たわる石になりました。
妻は夫を探しに行き、その場所に着くと、石を抱いて死に、木と石に巻き付く蔓草に変わり、その葉からはスパイシーないい香りがしました。
劉(ルー)氏の父母は娘を探してここに来て、深く悲しみ、そこに社を建てました。人々は皆、兄弟の調和と夫婦の節義を賞賛して、香を焚いて祈りました。
7月か8月の暑さがまだ収まっていない頃、雄王(フンヴォン)は巡行に行き、社の前で足を止めて涼みました。茂った葉や絡み合った蔓を見て、それらを口に入れて噛み、石に唾を吐きました。それは赤い色で甘い香りがしました。王は石を焼いて石灰を作り、蔓の木の実や葉と一緒に食べるよう命じました。いい香りでおいしく、唇は赤く頬は紅色になります。それが貴重なものだとわかって、持って帰るよう命じました。
今日、木はあちこちに植えられています。ビンロウジュの木、キンマそして石灰がこれです。後に、南の国の人々は結婚式や、大きな行事や小さな行事の時、初めにキンマを差し上げます。ビンロウジュの木の起源はこのようなものなのです。